「ヘチ」とは善と悪を裁く伝説上の生き物。政治や時勢に流されることなく、法と正義を守る司憲府(サホンブ)の役人は通称「ヘチ」と呼ばれる。
18世紀初頭。第19代王、粛宗(スクチョン)の次男イ・グムは聡明な青年だったが、母の身分が低かったために軽視され、自らも政治に関わらぬように生きてきた。母違いの兄イ・ユンが王位継承者の世子(セジャ)になっていたが、病弱で子どもがおらず、朝廷を牛耳る対立派閥の重臣たちは、代わりに素行の悪い傍系の王族、イ・タンを継承者にしようとたくらんでいた。そんななか、イ・タンの悪行を調査していた司憲府の役人が党争の餌食となって命を落とす。王座への不気味なまでの執着心をみせるイ・タンと、王族を利用して朝廷を掌握しようと画策する各派閥の重臣たち。イ・グムは、権力者が私利私欲のために正義をないがしろにする不公平な世を変えねばならぬと決心。志を同じくする熱血青年パク・ムンスと司憲府に仕える女性ヨジ、町のごろつきのタルムンとともに、万民のための公正な世を作り出すための長く険しい闘いに挑む。
※司憲府・・・役人の違法行為を監督する官庁。現在の検察のような組織。